大阪の家賃増額幅の常識が変化しつつある?(2019年7月27日著)

最近、地価上昇や家賃上昇が著しいことから、賃料増額に関するご依頼が非常に多くなってきており、また訴訟等で賃料増額に関わる機会が非常に多くなってきています。

この中で最近特に感じるようになってきたことが、「大阪の家賃増額幅の常識が変化してきているのではないか?」ということです。

従前の家賃増額の常識

従前の常識では、「10%を超える改定は、大きな改定」という認識が有りました。

そもそも不動産業界では全般的にこのような発想があったようですし(書籍等でも「10%を超える大きな改定」等の記述が見受けられました)、私が関わった案件でもこの発想が妥当する場面が多かったです。

特に大阪は、「東京に比べて賃料増額の機会も少なく、上げ幅に関しても東京のように行かない」ということも、不動産業界では定説でした。

最近の改定事例等

しかし、最近の改定事例を見ますと、10%増額というのはおとなしい部類に入り、30%超等の大幅な改定事例も見かけるようになってきました。

しかも定期借家の再契約を契機にするものでは無く、普通借家の契約更新に伴うものであることが特徴的です。

私が何らかの形で関与したものでも、

  • 契約締結後2年で20%の増額改定(店舗)
  • 一般的なオフィスでの20%の増額改定
  • 段階賃料ではあるものの50%の増額改定(オフィス)

などが有ります。

このような結果が、裁判等における判断に影響を及ぼすようになるには時間を要すると思われますが、『同一所有者の物件における改定水準』・『伝聞ベースで伝わる賃料改定事例の改定水準』が、『現実の改定水準』に影響を及ぼす部分は少なからずありますので、今後このような大幅改定事例が更に増えてくると予想されます。

大幅な増額改定が増えてきた理由

このような大幅な増額改定が増えてきた理由として、以下の3つが考えられます。

1.土地価格の大幅な上昇

まずは、土地価格が大幅に上昇していることが指摘できます。地価公示等を追いかけますと、場所によっては、一年間で40%増などというのがありますので。

これは、公租公課の増大に繋がりますので(負担調整があるとは言え、3年間で20%づつ上がっていくような場所も有ります)、オーナー側としても増額を主張しやすくなります。

2.家賃水準の大幅な上昇と空室率の低下

特にオフィスに関しては、昨今家賃水準の大幅な上昇と空室率の低下が見られます。

CBREのオフィスマーケットビューより、H27Q1とH31Q1の2地点(2年契約で2回目の改定のイメージ)で大阪の成約見込み賃料を見ますと、

  • グレードAで共益費込19,500円/坪⇒24,350円/坪と25%の上昇
  • グレードBで共益費込10,800円/坪⇒13,700円/坪と27%の上昇

と、今までには考えられないような賃料上昇が生じています。

また、空室率に関しても、同調査のH31Q1期では、グレードAで0.5%・グレードBで0.9%ですので、オーナー側は強気になりますし、テナント側としては「嫌だから出て、良い物件に移転する」という選択が難しくなっています。

3.アグレッシブなPM業者の出現

そもそも在阪のオーナー様は、「テナントとの関係性」を重視して賃料増額を考えない傾向が強く、管理等を任せているPM業者は自分の利益に繋がらない賃料増額交渉を避ける傾向がありました。

しかし近時においては、増額ノウハウを持ったPM業者が、オーナーに賃上げを提案し、成功報酬型で賃上げ交渉を行うというスキームも増えてきました。

もちろん、この種のPM業者はアグレッシブですので、勢いに押される形で高額な改定に同意するテナントも多いと思われます。

但し、話し合いにならない場面も…

上記の1.2のような状況の中、民民交渉での目線である『新規賃料と現行賃料の半分』という視点で見た賃料が、上昇率100%などというビックリするような数字になることも有ります。

また、繁華街の店舗等においては、上記によって導き出した改定賃料が、店舗経営的な理論賃料から大きく逸脱する例も見られます。

このような状況になると、妥協点を探っていこうにも『話し合いにすらならない』という状況に陥ってしまいます。

このような状況の中での増額改定

大阪都心部における賃料交渉を取り巻く状況は、この記事を書いている時点(2019年7月27日時点)では圧倒的にオーナー側優位であることは間違い有りません。

ですので、強気の交渉が基本スタンスになるわけですが、テナント毎に上昇に耐えられる限度が有ることも意識しておかないと、ズルズルと交渉が長引くだけになります。

また、このような状況下においても、継続賃料一般の注意点である直近合意時点がいつなのか・直近合意時点以降の事情変更は有るのか等によっては、調停・裁判等になると増額を主張し得ない場合もあります。

⇒ 賃料改定の基礎知識(外部サイト『賃料改定.com』)参照

ですので、出来うることなら事前に不動産鑑定士等の専門家のアドバイスを得た上で、「自分としての落とし所」を明確にして交渉に望まれることが理想的と言えるでしょう。

⇒ 弊社の賃料増減額交渉への対応はこちら

 

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