新型コロナ影響下の大阪都心部店舗・オフィス賃料について(2020.4.20時点の私見)+コロナ関係ニュース時系列まとめ

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、2020年4月7日に7都道府県(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・大阪府・兵庫県・福岡県)を対象として発令された『緊急事態宣言』は同4月16日に対象地域が全国に拡大されました。

緊急事態宣言は、対象エリアの住民の自宅待機と店舗等の営業自粛の要請を伴うものであり、これによって飲食店等の店舗は直接的な大打撃を受けることになりますし、いずれ広範囲な業種業態が大きな打撃を受けるものと思われます。

この中で国や地方公共団体は、『家賃』に対してこの局面を乗り切るための施策を発表し始めていますが、不動産に関わる職業専門家として、個人的に疑問を感じている部分もあります。

また、上記の施策にかかるニュース等が流れる中で、戦々恐々としているビルオーナー様も多いかと思われます。

そこで今回、あくまでも私見であり、また刻々と変動する状況における現時点(R2.4.20時点)での見解ではありますが、国や地方公共団体の発表した施策の特徴と、新型コロナウイルス及び上記施策の賃貸市場に与える影響についてまとめてみたいと思います。

賃貸市場に対する影響については、物件オーナー向け賃料減額請求対応マニュアルという形で取りまとめ、最新情報も更新していく予定にしています(現在2020年5月8日現在の情報・6月18日更新版・7月14日更新版を公開中です)。

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ご興味を持たれた方は、以下よりパスワードを取得してください。

⇒物件オーナー向け賃料減額請求対応マニュアル

新型コロナウィルスに関する主要ニュース(時系列)

まずはこれに先立ち、今までの情報整理(と後日の記録参照)の意味で、新型コロナウイルスにかかる主要ニュースを時系列で追いかけてみます。

一般的な施策の是非については、この場で私が意見を述べても仕方がないので淡々と参ります。

※該当事項に関する新聞記事等へのリンクも張っておきます。

2020.1.11 武漢で新型コロナウイルスによる初の死亡者
2020.1.16 日本で初の感染者確認
2020.1.23 武漢で都市封鎖開始
2020.2.1 新型コロナ感染症法で定める指定感染症に(政令の施行)
2020.2.5 ダイヤモンド・プリンセス号で集団感染が判明
2020.2.17 天皇誕生日の一般参賀中止を発表・東京マラソン一般参加の中止を発表
2020.2.24 専門家会議が「今後1~2週間が瀬戸際」との見方を示す
WHOは記者会見で潜在的なパンデミックの可能性を示唆
2020.2.25 政府が、新型コロナ対策の基本方針発表
2020.2.26 政府が、2週間のスポーツ・文化イベントの中止・延期要請
2020.2.27 政府が全国の小中高校に春休みまでの臨時休校を要請
2020.2.28 東京ディズニーリゾート・USJが臨時休業を発表
2020.3.2 学校の臨時休校に伴う保護者への休暇取得支援の公表
2020.3.11 選抜高校野球中止を発表
2020.3.12 WHOパンデミック表明
2020.3.13 新型コロナで改正特措法が成立 「緊急事態宣言」可能に
2020.3.24 東京オリンピック延期決定
2020.3.25 小池知事緊急記者会見で週末の外出自粛要請
ルミネ3月分の最低保証家賃減額を発表
2020.3.26 東京都が隣接県にも外出自粛要請を呼びかけ
2020.3.27 東京都花見自粛の呼びかけ(上野公園等一部封鎖)
大阪府も週末の外出自粛を呼びかけ
2020.3.30 小池知事バーやナイトクラブの利用自粛を要請
2020.3.31 ★国土交通省が飲食店等にかかる賃料猶予等を要請
2020.4.2 イオンモール3月4月のテナント賃料減免を発表
2020.4.2 LIXILビバが食品・ドラッグストアのぞくテナント賃料4・5月減額を発表
2020.4.7 ☆東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県で緊急事態宣言
三菱地所「丸ビル」等の一部店舗賃料減額・森ビルも減免等の措置を個別協議
北斗ハウジング・北斗アセットマネジメント所有商業ビルの賃料減免
※元記事を見つけられませんでしたが、パルコも概ね同時期から休館・営業短縮店舗での賃料減額開始しています。
2020.4.9 福岡の商業施設が一斉休業する中、JR九州系が賃料減額発表
2020.4.10 ★東京都が休業要請・休業協力金の概要を発表
2020.4.13 ☆大阪・福岡・兵庫で民間施設への休業要請
イトーヨーカドー3月のテナント賃料減免を発表
2020.4.14 日経新聞が各国の家賃猶予制度を報道
★福岡市が店舗家賃8割補助などの休業支援発表
丸井 3月のテナント賃料減額を発表
2020.4.15 ★大阪府、休業要請支援金発表
JNTO訪日外客数3月推計値・新型コロナで93%減と発表
2020.4.16 ☆緊急事態宣言全国への拡大を表明
大東建託、サブリース物件の賃料支払い猶予発表
★明石市が市費での家賃支援等発表
2020.4.17 ★国土交通省がビルオーナー向け支援(納税猶予等)発表
セブンイレブン5000店超の家賃減額を要請
家賃保証業のグローバル賃貸保証、解散
2020.4.19 自民政調会長、家賃猶予の法整備検討を表明
2020.4.20 ★厚労省による収入減世帯への家賃補助始始まる

※記事の本文には反映されていませんが、2020.4.21以降に発表されたニュースも追記していきます。

※不動産関係だけではなく、日本経済全体に及ぼす影響について広く収集しています。

 

 

2020.4.21
2020.4.22
2020.4.23
2020.4.24
2020.4.25
2020.4.26
2020.4.27
2020.4.28
2020.4.29
2020.4.30
【5月】

2020.5.1

2020.5.2
2020.5.3
2020.5.4
2020.5.5
2020.5.6
2020.5.7
2020.5.8
2020.5.9
2020.5.10
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2020.5.14
2020.5.15
2020.5.16
2020.5.17
2020.5.18
2020.5.19
2020.5.20
2020.5.21
2020.5.22
2020.5.23
2020.5.24
2020.5.25
2020.5.26
2020.5.27
2020.5.28
2020.5.29
2020.5.30
2020.5.31
【6月】

2020.6.1

2020.6.2
2020.6.3
2020.6.4
2020.6.5
2020.6.6
2020.6.7
2020.6.8
2020.6.9
2020.6.10
2020.6.11
2020.6.12
2020.6.13
2020.6.14
2020.6.15
2020.6.16
2020.6.17
2020.6.18
2020.6.19
2020.6.20
2020.6.21
2020.6.22
2020.6.23
2020.6.24
2020.6.25
2020.6.26
2020.6.27
2020.6.28
2020.6.29
2020.6.30
【7月】

2020.7.1

2020.7.2
2020.7.3
2020.7.4
2020.7.5
2020.7.6
2020.7.7
2020.7.8
2020.7.9
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2020.7.19
2020.7.20
2020.7.21
2020.7.22
2020.7.23
2020.7.24
2020.7.25

 

今までに発表された不動産関連施策の特徴

新型コロナに伴う不動産関連施策は、上記の★印を付けたものです。

国交省の施策等

最初に行われたのが、3/31日に国土交通省が発表した店舗等テナントへの賃料猶予等の要請で、これは営業自粛等による直接的な打撃を受ける店舗系テナントに配慮したものですが、ビルオーナー側へ向けての『補償の無い協力要請』である点が特徴的です。

4月17日に同省が発表した納税猶予等は一定ビルオーナー側に配慮したものですが、納税猶予でビルオーナーの一時的なキャッシュの枯渇を防止する効果はあるもののあくまでも『猶予』です(ビルオーナー向けの固定資産税減免も検討されていますが、かなり要件は厳しく、次年度の納付期限における免除まで持ちこたえられないビルオーナーも出てくると思われます)。

日本の中には、今だ『持つものであり強者である家主・地主と、持たざる弱者のテナント』という価値観が根付いているように思われますが、現下においてはこの構造は既に崩れています。

また、日本独自のテナント優位な法律である借地借家法(普通借地・普通借家では契約が自動更新され、更新拒絶には正当事由が必要となる)の存在にも留意すべきです。

この様な状況下では、テナント側からの賃料減免請求が起こるのは当然であり、これは本来的に『民民』間で私的自治の中で解決すべき問題と言えるでしょう。

これに『官』が、口出しをすることは、私的自治の領域である賃料交渉におけるテナント側への加担になりかねず、また中長期的に見た場合にはビルオーナー側の破綻から生じる波及効果で、深刻な経済崩壊を引き起こしかねないものです。

実際、大阪圏においては、この要請等を背景としてテナントから、「国も賃料をまけてやれと言ってるんだから、負けてくれて当然だろう!」等とする強硬な賃料交渉が行われる例も見られ始めています。

地方自治体及び厚生労働省の施策

上記に対して地方自治体や厚労省の施策は、テナント側(前者は事業者・後者は住居の入居者)に目を向けたもので、テナント側の賃料を補助するものです。

無論、これらも予算規模や要件の設定で保護される程度は変わってきますし、いずれにせよ完全な補償を行うことは現実的にあり得ませんので、これらの施策があってもビルオーナー等の物件所有者への減免請求は出てくるでしょう。

結果として、これらの施策によるテナント保護が行われても、ビルオーナー等の家賃減額による痛手は避けられない訳ですが、これは致し方ないものであり、国交省の施策のようなオーナー側への要請のみによる場合に比してフェアな構造と言えるでしょう。

追記

2020.4.22日に自民党が、中小テナント想定の補助制度を検討していることを発表しましたが、これはテナント側に目を向けたものとなっています。詳細が決まっていませんので何とも言えない部分はありますが、方向性としては良いものと言えるでしょう。

⇒日経新聞の当該記事へ

新型コロナ影響下の大阪都心部賃料の動向

次に、新型コロナ影響下の大阪都心部賃料の動向を予測しつつ、賃料交渉における理想的と思われる対応についても考えてみたいと思います。

飲食・物販等の店舗

今回の騒動で最も影響を受けているのが、ホテルと飲食・物販等の店舗です。

劇的な収入減になっていますので、「無い袖は振れない」状態でしょうし、現に賃料減額・猶予の交渉も多発しています。

但し、非常事態宣言以降における新規賃料水準なども見出しがたい状況ですし、賃料自体を減額する場合の水準についてもテナント側/オーナー側で折り合いをつけがたい状況と思われます。

現時点においては、現契約の改定ではなく、期間を限定した一時的な賃料減免での対応がテナント側/オーナー側の双方にとって最も穏当な解決法と思われます。

ニュースの中でも取り上げたように、オーナー側から賃料減免を申し入れる例も見受けられます。

オーナー側に体力がないと難しいことではありますが、今後の減額請求の防止/減額幅の緩和等においても有効に働く方法と言えます。

オフィス

大阪都心部のオフィスについては、三鬼商事株式会社が発表した3月時点のデータでは空室率がわずか2.0%で、新規賃料も上昇傾向にあります。

収益物件の経営の中で、平常時の優良物件の空室率が5%程度と言われています。

優良物件であっても、テナントの入れ替え等の際にどうしても空白期間が生じて、総じてみれば5%程度の空室は発生しているという状態です。

これが2%ということになると、テナント側が新規の入居物件を探そうとしても、空きがないので探しようがないというような状況になります。

また、現況において適正水準よりも低廉な賃料で契約している物件も多いことから、現状はむしろオーナー側からの賃料増額交渉も多く行われている状況です。

このように、今のところはコロナの影響での賃料減額は顕在化していませんが、国全体が打撃を受けますし、テレワーク等の利用が進む中で、「広いオフィスが本当に必要か?」という疑問が生じる可能性も有ります。

また、今後新築のオフィスビルも多く供給されますので、いずれは下落傾向に転換するのではないかと予想されます。

但し、2%という空室率では、「安いところに動こうにも空室がない」状態ですので、新規賃料は下がりません。この中で減額交渉を行っても『法律的な権利(賃料減額請求権)』を主張して認められるのは難しく、『お願いベース』の交渉をするしかありません。

この様な中で、調停・訴訟等でオフィスの賃料減額が認められるようになるのは、テナントが今より条件の良い物件を見つけられるようになってきたころ(空室率が8%程度まで上昇した頃)になるでしょう。その時期に関しては、予想が難しいところですが、個人的には1年程度経過した後ではないかと予想しています。

尚、現時点での賃料増額請求については、現状廉価で賃貸が行われておいたとしても、現状からの減額は感情的に納得しがたい部分が有ります。賃料増額は、最終的に調停・訴訟まで覚悟して行うものですが、法的手続きに踏み込むのは得策ではないでしょう。

現時点においても業種業態等によっては大打撃を受け、賃料減額交渉をせざるを得ないオフィステナントも有るかと思われます。

この場合、上記の通り賃料減額請求権の発生までは認められにくい状況ですし、調停・訴訟等による交渉は期間も長期化するために現実的ではないでしょう。

ですので、賃貸借契約自体の改定ではなく、当面の減免で折り合いをつけるのが現実的な解決法と思われます。

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