依頼する不動産鑑定士によって、どのような違いが出るのか?

不動産鑑定を生業としていて、たまに聞かれるのが「頼む鑑定士によって結果が違うのですか?」・「なぜ鑑定士によって鑑定費用(評価報酬)が違うんですか?」という事です。

不動産鑑定士は、全員国家資格を持っている訳ですから、「誰に頼んでも同じだろう」という理論も成り立たなくはない訳です。

ただ、この点は、色々思う所が有りますので…今回、出来る限り丁寧にまとめてみたいと思います。

不動産鑑定士による鑑定評価額の違い

これに関しては、「物件による」というのが正解です。

正直、戸建住宅・戸建住宅敷地・分譲マンションの一室等の一般的な物件であれば、差が開いても上下10%程度以内に収まると思います。

ただ、大型収益物件・商業施設・ホテル・老健施設等、特殊性を有する物件になりますと、「見方」によって結果は大きく変わってしまいますし、そのジャンルに精通していない鑑定ですと「的外れな結論」を出してしまう可能性も有ります。

特殊なジャンルの物件の評価を発注する際は、同種物件に対する経験についても事前に確認しておくべきです。

不動産鑑定業者による鑑定費用(鑑定評価報酬)の違い

次に、不動産鑑定業者による評価報酬の違いですが、現況統一基準が無く自由競争ですので、業者毎に独自基準で評価報酬を定めているのが現況です。

じゃあ、安いところを…というのも一つの発想ですが、オーダーメイドで文書を作成する鑑定評価にかかる費用の大部分は、「評価担当者の人件費」になります。

この中で、効率化等によって「安く上げようとすれば安くあげられる」部分はない訳ではないのですが、やはり最低限必要な時間が必要になるのは事実です。

また、不動産鑑定書は、どのような案件でも同じスタンスで書けばよいのではなく、依頼目的ごとに力の入れどころが違うのが事実ですが、安直な効率化はこの点に対応できません。

ですので、前項でも書かせていただいたような、戸建住宅・戸建住宅敷地・分譲マンションの一室等の一般的な物件について、「適正価格を知りたいだけ」であれば、価格で選んでも良いと思いますが、特殊物件・特殊スキーム(争訟・税務等)にも関わらず安価な価格を提示してくる業者さんには、注意が必要です(もちろん、私の思いつかないような効率化をしてらっしゃるかもしれませんが…)。

その他、鑑定士の経験・実力等によって、こんな違いが生じます

以上が良く質問を受ける点ですが、もう一歩進んで、鑑定士の経験・実力等で以下の様な差異が生じます。

事前の交通整理のうまさ

鑑定評価は、ご依頼の目的に応じて、評価条件等を設定したうえで行うものです。

ただ、ご依頼いただく方の多くは、「毎日鑑定評価を依頼している人」ではありませんので、ご依頼目的は明確でも、どのような評価条件等で評価を行うのかについて、明確なイメージを持ってらっしゃる方は多くありません。

この中で実際には、

  • 不動産鑑定士がご依頼者様のお話を聞いて、
  • その意図をくみ取って、
  • 「では、こういう評価条件で評価をして行きましょう」と提案する

というのが現実的な流れになります。

この作業は、実際のところかなり難しいもので、鑑定士の知識・経験によって差が出てくるところです。

作業中の段取りの良さ

不動産鑑定の際には、様々な資料をご用意いただくことになりますし、現地への動向等もお願いします。

このような中で、

  • 頂く資料に対するお願いの仕方
  • 質問等のやり取りの仕方

によっては、依頼者様の手をひどく煩わせてしまう場合があります。

不動産鑑定評価書の説得力

不動産鑑定評価書の記載事項は、不動産鑑定評価基準に定めは有りますが、やはり書き手によって内容が大きく異なります。

私も、裁判関係の仕事も多く行う関係上、他社様の鑑定書を読ませていただく機会も多いのですが、

  • あまりにも簡素で必要十分な記載もないもの
  • 逆に、あまり必要では無い情報ばかり書かれているもの
  • その評価スキームで必要なポイントが押さえたれていないもの

なども見られるのが実際のところです。

個人的には、ご依頼の前に、「この物件なら、どのような点に力点を置いて、鑑定書を書いていただけますか?」と尋ねて見られるのも良い方法だと思います。

アフターサービス

不動産鑑定の場合、「それを出したら終わり」という訳ではなく、それに関する追加意見を求められたり等も良くあります。

これに対してどのような対応をするのかも、業者によって異なります。

この記事のまとめ

この記事では、「頼む鑑定士によって評価額は変わるのか?」・「鑑定業者によって鑑定費用(鑑定報酬)が違うのはなぜか?」という質問を出発点に、頼む鑑定士(鑑定業者)によって出来上がりがどのように変わってくるかを解説させていただきました。

鑑定評価を発注する際には、上記も踏まえ、鑑定費用の面だけではなく、当該物件に対する精通度等も事前相談で探っていただいた上で、正式発注していただくのがよろしいかと思います。

 

コメントを残す