もう少し具体的な鑑定作業の流れ(第8章)

1か月でザックリ分かる不動産鑑定理論基礎講座も2週目第2日目です。

前回は、総論6章~8章をザックリ流したイメージですが、今回はもう少し8章に寄せた解説をすることで、鑑定評価の流れのイメージを持っていただきたいと思います。

ただ、完全に8章に寄せるというよりは、より実務チックというか、現実の作業ベースで考えてみます。

1.依頼者様からのご相談

まずはこれが無いと話が始まりません。

依頼者さんから、評価対象不動産や評価目的を聞いた上で、自分の中でも評価のイメージを探っていきます。

この辺りの内容は、総論第5章の基本的事項の確定・対象不動産の確定(観念的確定)に該当します。

2.現地調査(現地実査)

正式に発注いただけるとなると、現地調査(業界的には「実査」といいます)の日程を決めます。それとともに、現地調査で使用する資料等の準備も始めます(ここは8章の記述と異なりますが、手ぶらで現地を見ても仕方ないですから…)。

勿論、打ち合わせ時にどんな不動産かは説明してもらってる訳ですが、行ってみて初めて分かることも多いので、この現地実査は欠かせません。

また、不明な部分等はその場で聞ける方が効率が良いので、依頼者又は管理人に立ち合いを希望するのが原則になっています。

この中で、打ち合わせ時の内容で問題なければ、そのまま評価を進めていきますが、違ってる(更地って言われたのに建物が建ってたとかも平気で有るので…)場合には、評価条件等を擦り合わせし直します。

この辺りの内容は、対象不動産の確定(第5章・第8章)・対象不動産の確認(第8章)の内容になります。

3.周辺調査

これは鑑定評価基準には書いていませんが、不動産は動かないので、周辺の利用状況等もその価格に大きく影響をしてきます。

また、現地の近くでないと調べられない情報(市役所調査等)も有ります。

ですので、現地実査の前か後ろで、市役所調査や対象不動産の周辺の利用状況調査・場合によっては精通者へのヒアリング等も行うのが普通です。

ここで調べる内容は、前記の対象不動産の確定・確認(第5章・第8章)に必要な内容と、第3章にかかれた「価格形成要因」に関する内容になります。

前者の内容は、もちろん実査前に調べておく方が効率的です。

4.プロファイリング

現地と周辺調査の結果を踏まえて、「この不動産を買いそうな人がどういう人か」炙り出していきます(話を単純にするため価格評価に限定して書いてます)。

そして、「その人は、どういう視点でこの不動産を見るのか」を考えます(都心部に通勤するサラリーマンなら駅距離とか電車乗り継ぎとか重要だろうな~・ファミリー層なら学区も重要だろうな~etc。第3章に挙げられた「価格形成要因」を、その人の視点から「意味づけ」していく作業になります。)。

その上で、その人ならこの不動産にいくら出すかな?っていうのを考えていきます。

犯罪捜査もののドラマとかで出てくる「プロファイリング」のイメージですね。自分がその人(その不動産を買いそうな人)になりって、色々考えて、そこから価格水準にアプローチするわけです。

この内容が、第6章に書かれた部分となります。

前回のお話の中心もここだったように、不動産鑑定の根幹を占める部分になりますので、出来れば前回の内容ももう一度読み直していただいて、しっかりとイメージを作ってください。

5.数式で検証

上記でつかんだ対象不動産の特性と、最終的な価格水準をベースに、算定式に数字を入れて行って検証を加えていきます。

検証の結果と、最終価格水準が整合しなければ、

  • あなたの予想(プロファイリング結果)
  • 対象不動産の特性の、数式への落とし込み
  • 各種数値等の入力
  • 数式を組んだエクセル

のどれかが間違っているのでしょうから、再検討していきます。

そのうちに、「これや!」っていうのが見えてくるはずです。

ここに書かれている数式は、第7章に挙げられています。

第7章の学習をしていると、数式ばかりに眼が行きがちになりますが、第6章の内容を数式に落とし込まなければ、出てきた結果は意味のないものになります。

極論、上で書いたように、7章で数字を作る作業は、6章で行ったプロファイリングの『検証』と思ってもらっても良いくらいのものです(6章の作業がキッチリできていれば、おのずと『価格水準』は見えてくるはずのものです)。

この6章・7章の関係性は、しっかり理解しておいてください。

6.試算価格の調整と鑑定評価額の決定

5.ではいくつかの数式を使います。

この数式の結果は、純理論的には一致するはずですが、資料収集の限界や、対象不動産の特性によって不一致が生じる場合が有ります。

この中で、これまた「この不動産を買いそうな人」になりきって数字を眺めて、「この人ならこういう発想で値段を決めるよな~」というロジックでもって、最終の鑑定評価額を決定します(この行為を「試算価格の調整」といい、第8章で説明が行われています)。

7.内示(概算報告)

価格が決まりましたら、依頼者に内示(概算価格を伝える事)を行うのが一般的です。

鑑定評価の場合、「こういう数字だと、売買自体も行えない」という事も有るので、いきなり評価書を出すのではなくて、ワンクッション置くイメージです(但し、基準上は、この段階で評価書の骨子は出来ているという建付けになっています)。

8.評価書の作成

上記の結果、Goサインが出たら、評価書の作成に入ります(基準上は、ほぼ出来ているはずですが、実際は細かな部分はGoサインが出たのちに作る人が大半だと思います)。

尚、評価書に書くべき事項とかは、第9章に書かれています。試験的にはあんまり…ですが、実務上は、記載事項等が無かったら混乱しますので、結構重要な部分になります。

お疲れさまでした!

第2週目の第2日目、お疲れさまでした!

今回は、前回の内容をもう少し基準(8章)に寄せて解説してみました。

再度まとめますと、

  • 依頼者様からの相談(5章)
  • 現地調査(5章・8章)
  • 周辺調査(主に3章の内容)
  • プロファイリング(6章)
  • 数式での検証(7章)
  • 試算価格の調整と鑑定評価額の決定(第8章)
  • 内示
  • 鑑定評価書の作成(第9章)

でした。

これを眺めても、総論5章~9章が鑑定実務にとって非常に重要という事を理解していただけると思います(参考記事 ⇒不動産鑑定評価基準の全体構造と基準が「分かりにくい」理由)。

第3日目では、第7章の計算方法について、ザックリと解説させていただきます。

まだ余力があるという方は、よろしければ以下のリンクから第3日目にお進みください。

⇒ こんな考え方をもとに計算を行う(第7章)

また、今回の内容に質問等のある方は、k-usui☆usui-rea.com(☆を@に変えてください)までメールしていただけましたら、概ね1週間程度で回答するよう努力します。

尚、メールを頂く際には、『不動産鑑定理論基礎講座本編』を読んだ旨・ご自身のお名前は必ずご記入くださいね。

それでは引き続き、どうぞよろしくお願いします。

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