不動産鑑定評価基準って何?

1か月でザックリ分かる不動産鑑定理論基礎講座の1週目・1日目は、まずは「不動産鑑定評価基準」というもののイメージについてです。

これから学んでいくものが「どういうものなのか?」という漠然としたイメージが有るのと無いのでは、学習効率が大きく違ってきますので、ここでイメージを固めておきましょう。

不動産鑑定評価基準=鑑定士のルールブック

不動産鑑定評価基準は、不動産鑑定士が不動産鑑定評価を行うにあたってのルールブックです。

内容的には、

  • 鑑定評価について、こういう認識をもって(第1章~第4章)
  • こういう手順を踏んで(第5章・第8章)
  • こういう考え方で価格にアプローチして(第6章・第7章と各論)
  • こんな項目で鑑定書を書いていく(第9章)

という事が定められていて、このルールブックに従ってなかったら、本人は鑑定書を書いたつもりでも、「こんなものは鑑定書ではない!」と言われてしまいます。

鑑定評価基準は『完璧』ではない

とはいえ、不動産鑑定評価基準は、(頑張ってはいるんですが)決して『完璧』とは言えません。

試験でこんなこと書いたらまずいですが(笑)、これが『完璧』と思うと、真面目に考える人ほど、「悪いのは自分」と考えてしまって、苦しくなります。

『完璧』ではないのは、以下の理由によります。

価値観の移り変わりが早くて対応し難い

不動産鑑定と言うのは、「今現在の経済情勢・価値観の中でこの不動産を見ると、こういう価格になる」というのを体系化したものです。

しかし、昨今の価値観の変化は物凄く速いので、どうしても後追いになってしまうのが実情です。

例えば、30年ほど前までは「土地の価格は上がり続けるもので、建物なんておまけ」というのが常識でしたが、今は「下がり続ける土地もあって、建物も凄く重要」というのが常識になっています。

また、20年ほど前なら「借地人か地上屋さんしか買手の居なかった底地」が、事業用定期借地権制度の創設とともに優良な投資物件になっていて、「更地より髙い底地があっても、別におかしくない」という状況になっています。

このような時代の変化に対応するために、鑑定評価基準は都度「改正」を行っていますが、どうしてもタイムラグが生じてしまい、

  • まずは、大手鑑定業者を中心に実務レベルで変化に対応し(多少『基準』からするとちょっと無理のある鑑定書が出る)、
  • これを中小の鑑定事務所が模倣しだす頃に、基準改正の議論が出て来て、
  • 更に時期をおいて、ようやく基準が改正される

という流れになってしまいます。

まあ、こういうのは、一般の法律等でも同様なもので、構造的なものではあるわけですが、特に不動産の現場を知っている方が鑑定評価基準を読むと「ええっ??」っとなってしまうこともあるか思います。

都度改正されて「増築しまくりの旅館」のようになっている

そして、上記の改正は、都度都度行われている訳ですが、「全面改定」ではなく、「必要な部分のみの改定」が繰り返されてきました。

その結果、「昔からある部分」と「新しい部分」に根本的な価値観の差が有る部分があったりして、全体的な統制が取れていないのが現象です。

増改築を繰り返した旅館に泊まって、「本館3階からは行ったはずなのに、なぜ今、西館の1階に居るの??」みたいな経験をしたことは有りませんか?

ちょうどあんな感じです。

鑑定評価基準に優しく接してあげましょう

このような状況ですので、鑑定評価基準に『完璧』を求めてあげるのは可愛そうです。

ですので、受験生の方は、「多少いびつなところが有るんだ」という認識で学習いただく方が良いですし、弁護士の先生・裁判官の方等も、「基準の記述のみを重視すると、今の常識に合わない鑑定書になることが有りうる」という点を認識頂きたいところです。

という事ですので皆さま、不動産鑑定評価基準に対しては、「あかん所も有るけど、よう頑張ってるね!よしよし!!」と、優しい態度で接して頂ければ、みんな幸せになると思います。

お疲れさまでした!

第1週目の第1日目、お疲れさまでした!

初日ですので当たり障りのない内容ですが、

  • 鑑定評価基準がルールブックであるということ
  • ただ、そんなに完ぺきではないこと

を持って帰っていただければと思います。

第2日目では、鑑定評価基準の構造と、鑑定評価基準がなぜ分かりにくいか?について学びます。

まだ余力があるという方は、よろしければ以下のリンクから第2日目にお進みください。

⇒ 不動産鑑定評価基準の全体構造と基準が「分かりにくい」理由

また、今回の内容に質問等のある方は、k-usui☆usui-rea.com(☆を@に変えてください)までメールしていただけましたら、概ね1週間程度で回答するよう努力します。

尚、メールを頂く際には、『不動産鑑定理論基礎講座本編』を読んだ旨・ご自身のお名前は必ずご記入くださいね。

それでは引き続き、どうぞよろしくお願いします。

1か月でザックリ分かる不動産鑑定理論無料講座目次はこちら

 

コメントは受け付けていません。